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どうしても生きてる

朝井リョウの「どうしても生きてる」を今読み終えた。5/7(土)1時50分。もう休みが2日もないことに絶望している。また夜更かししてしまった…。会社始まってから時間狂うと辛いのに。

 

にしてもこの人の作品は本当に……。現代社会人の抱えている鈍くて重いもの、人には言えない自分の核の部分、そういったところを丁寧に丁寧に描くなあ。すごい、この作品は特にどの短編も「分かる」と思う内容だった。この「分かる」は決して女子高生とかが言う前向きな「分かる〜!」ではない。「ああ、このどうしようもなさ、あるよな…分かる…」みたいなズーンとした「分かる」である。

 

わたしの中の永遠のテーマと言ってもいいかもしれない、「どうしようもない事実」これに尽きるかもしれない。わたしは常に他者と自分を比べて劣等感ばかり募らせてた。なんで人から好かれないんだろう?努力ができないんだろう?頭が悪いんだろう?考えることが苦手なんだろう?字が汚いんだろう?何も誇れるものがないんだろう?顔も可愛くないんだろう?金持ちじゃないんだろう?

理想がどうしようもなく高いんだろうとも思う。だってわたしより可愛くなくて頭も悪くてもっと貧乏な人だっている。それでも、私よりも人格も環境も優れている人達がいるのもまた事実だ。そこを追及したってキリがないってわかってるのに、だからこそ、その「どうしようもなさ」がわたしを苦しめる。

 

「大丈夫」としか言えなかった吉川さんの気持ち、すごく分かる。「今すぐ逃げ出したいけどそうしたってどうにもなんないしどうしようもないから大丈夫と言うしかない」んだよなあ。だって、わたしもしんどくてしんどくて全部投げ出したいけど、その先にはまた違うしんどさがあるだけで、結局現実は続いていくんだよ。仕事をやめたってまた働かなきゃいけないし、仮に子供や旦那さんがいたら辞めるなんて選択肢すら選べないと思う。しんどくて辛くてもどうしようもない、逃げれない。だから「大丈夫」って言う。転職した先でも結局はしんどいしんどいと言ってるだろうし、家庭があったらすべてを投げ出せなくて耐えるしかないんだろうし。

 

そう思うと、家庭を持つって自分に枷を与えるだけでいいもんじゃないのでは?と思った。作中で子供が障害児の可能性が高いと診断されていたが、わたしが妊娠したとして障害児の子どもが産まれてくる可能性だってある。健常児で生まれてきたとしても、きっと周りとの付き合いや自分の家庭環境や経済力を周りの家庭と比べて辛くなってしまうんだろう。どうあがいても辛くなる未来が見える。かと言って、1人で生きていく強さも力もない。誰かから愛されるようなキャラクターでもなければ、美貌もないし、どこでも渡り歩けるコミュニケーション能力や仕事ができるわけでもない。こんなないないづくしの私は、どんな道を選んでも苦しくなるのだ。作中の豊川と同じように、逃げて言い訳して後悔して、自分の胸張れない人生になっていくんだと思う。

 

そう思うと、やっぱりどうしても前向きに自分の人生を切り拓ける人間とそうじゃない人間に分かれてしまうと思うんだ。そうじゃない人間が多数なのは分かっているけど、どうしてもそこに妥協することができないでいるんだと思う。羨ましい、やりたいことがあってそれに向かって頑張って結果を出してる人が心底羨ましい。私はやりたいことなんかないし努力をしたくない。留学を決めたあの子も、司法試験に合格したあの子も、みんなから愛されて楽しそうにしてるあの子もみんなみんな羨ましい。その子達はこの作品を読んだらどう思うんだろうか?「分かる」と言うのだろうか?「あー…こういうしんどそうな人、いるよね」とだけ思うのだろうか?あの死にたくなる気持ち、分かるんだろうか?なんかしんどい楽しくない毎日を繰り返して、これがずっと続くのかあと思うともうここでやめてもいいんじゃないって思ってしまうあの感じ。全てがどうでも良くなるあの感じ。経験したことはあるんだろうか?

 

そんなことをぐるぐる考えてると、わたしは「陰」の気を背負っちまってるなあと思う。持たざるもの。人から好かれぬもの。誰にもいい影響も悪い影響も与えぬもの。悲しくなるけど「どうしようもない」のさ。中学の時からずっとそうだった。3人でいれば1人余るし、大勢で行動すれば誰かが私に話しかけてくることはないし、いてもいなくても変わらない存在だった、ずっと。あー、誰の1番にもなれないんだなあと。世の中にはどうしたって話しかける側と話しかけれる側がいて、誘う側と誘われる側がいる。後者にはなれないんだ、どうあがいても。しかもこればっかりはコントロールできないでしょ?他人が考えること,決めることだから。だからどうしようもなくて辛いんだ。相手が悪いわけでもない。いっそ相手を恨めたら楽なのに。

 

こういうずらずら書いた気持ちを朝井リョウさんは鮮明に描くから、辛いけど「分かる」んです。